
アメリカに食品を輸出したいけど、FDAとUSDAって何が違うの?
FDAとUSDAの違いは「管轄する食品の種類」です。
水産物や野菜、加工食品はFDA。食肉・家禽・卵製品はUSDA。この区分を間違えると、米国の通関で貨物が止まります。管轄や必要手続きに不備があると、通関で保留・差し止め等のリスクが高まります。



この記事では、自社製品の管轄を判断できるよう解説しますね
食品カテゴリ別の管轄一覧と、迷いやすい「肉入り加工食品」の含有率基準を整理しました。輸出準備の第一歩として、ぜひ参考にしてください。
【結論】FDAとUSDAの違いは「管轄する食品の種類」



FDAとUSDAって、どっちも食品を扱う機関だよね?
はい、どちらも「食の安全」を守る役割を担っています。ただし、担当する食品カテゴリがまったく異なります。


FDAは保健福祉省の機関。USDAは農務省の機関です。それぞれの管轄は明確に分かれています。



ざっくり言えば「肉・家禽・卵製品以外はほぼFDA」と覚えてください
乳製品は「動物由来」ですが、USDAではなくFDA管轄です。意外と間違えやすいポイントなので、注意してくださいね。
米国輸出における規制の全体像と、FDA・USDAの管轄区分については、ジェトロの公式セミナー動画でも詳しく解説されています(17:53頃から管轄の違いについて説明があります)。
FDAは水産物・野菜・加工食品を管轄
FDA(Food and Drug Administration)は、アメリカ食品医薬品局のことです。食肉以外のほぼすべての食品を管轄しています。
FDAが管轄する主な食品
| カテゴリ | 具体例 |
|---|---|
| 水産物・魚介類 | エビ、カニ、マグロなど |
| 野菜・果物・穀物 | 生鮮品から冷凍品まで |
| 乳製品 | 牛乳、チーズ、バターなど |
| 加工食品 | 菓子、調味料、缶詰など |
| 飲料 | ジュース、茶、コーヒーなど |
詳細はFDA公式サイトで確認できます。
USDAは食肉・家禽・卵製品を管轄
USDA(United States Department of Agriculture)は、アメリカ農務省のことです。食肉・家禽・卵製品を管轄しています。
実際の食品検査は、USDA内のFSIS(食品安全検査局)が担当しています。
USDAが管轄する主な食品
| カテゴリ | 具体例 |
|---|---|
| 畜肉 | 牛肉、豚肉、羊肉 |
| 家禽肉 | 鶏肉、七面鳥 |
| 卵製品 | 液卵、乾燥卵、冷凍卵 |
| 肉入り加工食品 | 含有率による(後述) |



USDAはFDAより検査・承認が厳格です。ラベルの事前承認も必須ですよ
審査に数週間かかることもあります。詳細はUSDA FSIS公式サイトをご確認ください。
FDAとUSDAの違いは管轄する食品の種類。肉・家禽・卵製品以外は基本的にFDA管轄と覚えておきましょう。
FDAとUSDAの違いを食品カテゴリ別に整理



大半の食品は管轄が明確なの?迷うケースもある?
はい、一部「どちらか迷う」カテゴリがあります。まずは基本的な区分を表で整理しますね。
食品カテゴリ別の管轄一覧
| 食品カテゴリ | 管轄 |
|---|---|
| 水産物・魚介類 | FDA |
| 野菜・果物・穀物 | FDA |
| 乳製品 | FDA |
| 飲料(アルコール除く) | FDA |
| 菓子・スナック | FDA |
| 牛肉・豚肉・羊肉 | USDA |
| 鶏肉・七面鳥 | USDA |
| 卵製品(液卵など) | USDA |



表の通り、USDA管轄は肉類と卵製品だけ。それ以外はFDAです
卵は殻付きFDA、液卵USDA
(基本の覚え方として)殻付き卵は主にFDA、液卵・乾燥卵などの「卵製品」はUSDA(FSIS)です。
| 管轄 | 該当する卵製品 |
|---|---|
| FDA | 殻付き生卵、マヨネーズ、プリン |
| USDA | 液卵、乾燥卵、冷凍卵 |



覚え方は「殻から出したらUSDA」。シンプルですよね
卵を原料に使った食品(マヨネーズなど)は、卵そのものではなく「加工食品」として扱われます。そのためFDA管轄になるのです。
卵はFDAとUSDAが役割分担しており、用途や制度(例:グレーディング等)で関与が分かれるため、輸出入の実務は必ず公式情報で確認してください。
乳製品は原則FDA
乳製品は原則としてFDAが所管します(輸出入の手続きもFDA側の要件が中心です)。牛乳、チーズ、バター、ヨーグルト、アイスクリームなどが該当します。



動物由来だからUSDAかと思ってた…
よくある誤解ですね。「動物由来=USDA」ではありません。USDAが管轄するのは、あくまで食肉・家禽・卵製品だけです。
ただし、肉を含むチーズ製品(ミートチーズなど)は、肉の含有率によってUSDA管轄になる可能性があります。
卵は「殻から出したらUSDA」、乳製品は「原則FDA」と覚えておきましょう。
FDAとUSDAの違いで最も迷う「肉入り加工食品」の判断基準



カレーやシチューみたいな肉入り食品は、どっちの管轄になるの?
肉入り加工食品は、肉の含有率によって管轄が変わります。


カレー、シチュー、肉エキス入りスープなど、多くの食品がこの基準に該当します。輸出前に必ず確認しておきましょう。
肉の含有率による管轄判断基準
| 肉の種類 | USDA管轄の基準 |
|---|---|
| 生の畜肉(牛・豚・羊・山羊等) | 3%超 |
| 調理済み畜肉 | 2%以上 |
| 畜肉脂肪・タロー・ミートエキス(単独または合算) | 30%超 |
| 肉系ブロス | MPR 135:1以上 |
| 調理済み家禽肉(鶏・七面鳥) | 2%以上 |
| 家禽(皮・内臓・脂肪等の組合せ) | 10%以上 |
出典:FDA – FDA Regulated Meats and Meat Products


生肉3%超でUSDA管轄
生の牛肉・豚肉・羊肉・山羊肉が製品重量の3%を超えると、USDA管轄になります。
該当例は、生肉入りの冷凍餃子や生ハンバーグなど。3%以下であればFDA管轄のままです。



配合を調整してFDA管轄に収めるのも戦略のひとつですよ
調理肉2%以上でUSDA管轄
加熱調理済みの肉が2%以上含まれると、USDA管轄になります。



生肉より基準が厳しい点に注意してください。3%超→2%以上ですよ
該当例は、レトルトカレー、肉入りパスタソース、肉まんなど。日本で人気の加工食品の多くがこの基準に引っかかります。
家禽肉(鶏・七面鳥)も調理済みで2%以上含まれるとUSDA管轄です。また、家禽の皮・内臓・脂肪等の組合せが10%以上の場合もUSDA管轄となります。
畜肉エキス30%超でUSDA管轄
ビーフエキス、ポークエキス、畜肉脂肪、タローなどが単独または合算で30%を超えると、USDA管轄になります。
該当例は、濃縮スープやブイヨンキューブなど。30%以下であればFDA管轄です。
肉系ブロスについては、MPR(水分対たんぱく質比)が135:1以上の場合もUSDA管轄となります。



エキスだから大丈夫、っていうわけじゃないんだね
その通りです。「エキスだから大丈夫」と誤解しやすいポイントですね。濃縮タイプの製品は特に注意が必要です。
判断に迷う場合はFSISへ事前照会
含有率が境界線上、または複数の肉を含む場合は、自己判断せずFSISに確認してください。事前照会は無料です。
FSISへの照会方法
| Webフォーム | askFSIS |
| メール | askFSIS@usda.gov |
| 電話 | 1-800-233-3935 |
| 対応時間 | 平日7:00〜17:30(EST) |





ラベル関連の照会は、Inquiry Typeで「Labeling」を選択してくださいね
照会せずに輸出して通関で止められるリスクより、事前確認の手間の方がはるかに小さいです。迷ったら必ずFSISに問い合わせましょう。
FDAとUSDAの違いが輸出手続きに与える影響



管轄が違うと、手続きも変わってくるの?
管轄が違えば、必要な手続きも大きく異なります。
一般的にUSDA管轄の方が手続きが厳格です。審査期間も長くなる傾向があります。輸出スケジュールを組む際は、この違いを把握しておきましょう。
FDA:施設登録+事前通知が必須
FDA管轄食品を輸出する場合、施設登録と事前通知が必須です。これはバイオテロ法に基づく義務となっています。
FDAへの必須手続き
| 施設登録 | 製造・加工・包装・保管施設の登録 |
| 更新頻度 | 2年ごとの更新が必要 |
| 事前通知 | 輸出の都度、貨物到着前に届出 |
| 提出可能期間 | PNSIは到着15日前まで/ABI(ACS)は到着30日前まで |
| 最低提出猶予(目安) | 陸路2時間前、鉄道4時間前、航空4時間前、海上8時間前(国際郵便は発送前) |



いずれも到着前にFDAが受領・確認する必要があります。余裕を持って準備しましょう
詳細はJETROの加工食品輸入規則Q&Aをご確認ください。
USDA:ラベル事前承認が必須
USDA(FSIS)管轄の製品ラベルは、内容によって「提出が必要なケース」と「提出せずに使用できる(ジェネリック承認)ケース」に分かれます。
特別な表示・主張(例:特定のクレーム等)がある場合は、LSASから提出して審査を受けます。一方、要件を満たすラベルはジェネリック承認で、必ずしも事前提出が必要ではありません。(根拠:9 CFR 412.2/FSISのラベル承認ガイドライン等)
USDAへの必須手続き
| ラベル事前承認 | 特別な表示がある場合、製品ラベルをFSISに提出 |
| 輸出証明書 | 食肉衛生証明書・輸出検疫証明書 |



輸出証明書は、日本側の検査機関から取得する必要がありますよ
ラベル申請はLSAS(Label Submission and Approval System)から電子申請が可能です。
USDA管轄は審査に数週間かかる



審査ってどのくらい時間がかかるの?
ラベル審査(提出が必要な場合)の目安は、一般に数営業日(例:5〜7営業日を目標)ですが、表示内容や混雑状況、追加資料の要否によって長引くことがあります。
修正指示が入ると再提出となり、さらに追加の日数が必要です。FDA管轄(施設登録+事前通知)と比べて、準備期間が長くなる傾向があります。



輸出スケジュールを組む際は、自社製品がUSDA管轄かどうかを早期に確認すべきです
FDA管轄は施設登録+事前通知、USDA管轄はラベル事前承認が必須。USDAの方が審査に時間がかかるため、早めの準備を心がけましょう。
日本から米国へ輸出できない品目|豚肉・鶏肉の施設認定の壁



USDA管轄の食肉って、日本から輸出できるの?
USDA管轄の食肉を輸出するには、日本国内の施設がUSDA FSISの認定を受けている必要があります。
USDA(FSIS)管轄の食肉・家禽を米国へ輸出する場合、対象品目ごとに「輸出が認められているか」「対象施設が要件を満たしているか」等の条件確認が必要です。制度や運用は更新されるため、最新の可否はFSISのImport & Export Library等の公式情報で必ず確認してください。


牛肉(和牛)は輸出可能


日本には牛肉のUSDA認定施設が複数存在し、和牛の米国輸出は可能です。
2024年の牛肉輸出額は前年比約12%増の648億円(くず肉を含む)とされ、過去最高を更新しました。和牛の海外人気は着実に高まっています。



認定施設リストは農林水産省のサイトで確認できますよ
詳細は農林水産省「北米|証明書や施設認定の申請」で確認できます。輸出を検討する場合は、取り扱い銘柄の処理場がリストに含まれているかチェックしてください。
豚肉・鶏肉は施設認定がなく輸出不可
日本国内に豚肉・鶏肉のUSDA認定処理施設は存在しません。
そのため、現状では日本産の豚肉・鶏肉を米国に輸出することは困難です。ただし、制度や運用は変更される可能性があるため、最新情報は公式サイトで確認してください。



鶏肉加工品なら大丈夫じゃないの?
残念ながら、肉含有率が基準を超えればUSDA管轄となり、同じ壁にぶつかります。鶏肉については、鳥インフルエンザの発生状況によっても輸出規制がかかることがあります。
現実的な選択肢として、「肉を含まない加工食品」で米国市場を狙う戦略があります。肉エキスを植物性原料に置き換える、魚介ベースにするなど、商品設計の段階でFDA管轄に収める工夫を検討してみてください。
価格は記事執筆時点のものです。最新価格は公式サイトでご確認ください。
管轄判断や輸出戦略に迷ったら専門家への相談を



自分で判断するのが難しい場合、どこに相談すればいいの?
管轄判断・手続き・輸出戦略は、専門家に相談することで時間とリスクを削減できます。
無料で相談できる公的機関を活用してください。輸出の経験がなくても、丁寧にサポートしてもらえます。
JETROの輸出相談窓口
JETRO(日本貿易振興機構)は、輸出全般の相談を無料で受け付けています。
米国向け食品輸出に関する規制情報、手続きの流れなどをアドバイスしてもらえます。初めての輸出でも安心です。
JETROの相談窓口
| 相談窓口 | 農林水産物・食品輸出相談窓口 |
| 電話 | 03-3582-5646 |
| 対応時間 | 平日9時〜12時/13時〜17時 |





米国向け専門ページもあるので、ぜひチェックしてみてください
米国向けの詳細情報は米国 農林水産物・食品 輸出支援プラットフォームで確認できます。
JETROが提供する具体的な輸出支援サービスや相談の流れについては、こちらの動画でわかりやすく紹介されています。
商工会議所の貿易支援サービス
各地の商工会議所でも貿易相談を実施しています。
原産地証明書の発行など、実務的なサポートも受けられます。地元に密着した相談ができるのがメリットです。
商工会議所の貿易支援
| 貿易関係証明 | 日本商工会議所 海外ビジネス・貿易証明 |
| 特定原産地証明書 | EPAに基づく特定原産地証明書発給事業 |



まずは地元の商工会議所に問い合わせてみてくださいね
JETROも商工会議所も無料で相談できます。輸出の第一歩として、まずは専門家に話を聞いてみましょう。
FDAとUSDAの違いに関するよくある質問



FDAとUSDAの違いについて、まだ気になることがあるんだけど…
よくある疑問をQ&A形式でまとめました。輸出準備の参考にしてください。
Q: アルコール飲料はFDA?USDA?
アルコール飲料はFDAでもUSDAでもありません。
酒類タバコ税貿易管理局(TTB:Alcohol and Tobacco Tax and Trade Bureau)の管轄です。ワイン、ビール、蒸留酒などすべてTTB管轄となります。



TTBへの届出・ラベル承認が必要ですよ
Q: 両方の管轄にまたがる場合は?
原則として「より厳しい方」の規制に従います。
肉を含む加工食品で含有率が基準以上なら、USDA管轄として手続きを進めてください。



両方に申請する必要はないの?
「両方に申請する」必要はありません。管轄は一つに決まります。判断に迷う場合はaskFSISに事前照会するのが確実です。
Q: 管轄を間違えると輸出品はどうなる?
米国の通関で差し止め・返送・廃棄のリスクがあります。
管轄別のリスク
| 管轄 | リスク内容 |
|---|---|
| FDA管轄食品 | 事前通知なしで入国拒否の可能性 |
| USDA管轄食品 | ラベル承認なしで輸入不可 |



金銭的損失だけでなく、取引先との信頼関係にも影響します
事前確認を徹底してください。
Q: ペットフードはどちらの管轄?
ペットフードはFDA管轄です。肉を含むペットフードでもFDA管轄になります。
人間用食品とは基準が異なる点に注意してください。FDAのCVM(Center for Veterinary Medicine)が動物用食品を担当しています。



施設登録・事前通知はペットフードにも適用されますよ
アルコールはTTB、ペットフードはFDA。例外的なカテゴリもあるので、自社製品の管轄は必ず事前確認しましょう。
まとめ|FDAとUSDAの違いを理解して正しい管轄で輸出準備を
FDAとUSDAの違いは「管轄する食品の種類」です。
FDAとUSDAの管轄まとめ
| 管轄 | 対象食品 |
|---|---|
| FDA | 水産物・野菜・乳製品・加工食品 |
| USDA | 食肉・家禽・卵製品 |
| 肉入り加工食品 | 含有率で判断 |



生肉3%超、調理肉2%以上、エキス30%超でUSDA管轄ですよ
管轄を間違えると通関で止められるリスクがあります。事前確認を徹底してください。
日本から米国への食肉輸出については、牛肉は認定施設から輸出可能です。一方、豚肉・鶏肉は認定施設がなく事実上不可能となっています。



判断に迷ったら、まずは専門家に相談してみてくださいね
JETROの輸出相談窓口や商工会議所に相談してください。無料でサポートを受けられます。
正しい管轄を把握し、必要な手続きを事前に確認すること。それが米国輸出成功への第一歩です。



